読書メモ 📖日本人は「やめる練習」がたりてない 著:野本響子

二〇一八年六月、「多くのひとは辞める練習が足りてない」というツイートが数万回もリツイートされ話題になった。その反響が浮き彫りにしたのは「日本にはやめられなくて苦しんでいる人がたくさんいる」ということ。いじめ、自殺、ハラスメント…日本のこれらの問題は「やめられない」「逃げ場がない」ことが深刻化の原因だ。一方、このツイートをした著者の住むマレーシアは「仕事や学校が嫌ならすぐやめる」人も多く、それでも社会は回っている。多様性にあふれ、怒る人が少ない寛容な“ゆるい”国に今、日本から移住・留学する人が増えている。マレーシア人の考え方、驚きの教育制度など、日本とは別の世界を紹介する。

内容(「BOOK」データベースより)

この本を選んだ理由

 まさにタイムリーなタイトルでした。

 我が子は5歳にして不登校になりかけていました。

 年中で転入してから、新しい幼稚園に馴染めず、行きたがらない日々が続いていたのです。

 自分の気持ちを押し殺して、我慢して登校していましたが、私自身がもう我慢させてはいけないと思い、登校するかどうか自由に選ばせるようになりました。

 行ったり行かなかったりの日々でしたが、遂にほとんど行かないようになっていました。

 私の中で何度か頭をよぎった「幼稚園をやめる」という考えが、ピークに達していました。

 そんな中、この『日本人は「やめる練習』が足りてない』という本に出合ったのです。

 確かに、私自身もやめることが苦手。

 個人的なことならともかく、他者と関わりのなか(学校や会社、仲間など)で始まったことは、なかなかやめられない。

 この本を読めば、やめる心構えと、その後の身の振り方が学べるかもしれない。

 そんな期待を持って、ワクワクしながら読み進めました。

マレーシアってこんなところ。

  • バスの遅刻は当たり前
  • 学校の職員が突然辞める
  • 予定はあくまで予定で、約束はなかなか果たされない。(準備不足を理由に突然延期することも)
  • 教師はこどもの褒めるポイントを一生懸命さがし、見つけたらすかさず褒める。(階段を登っただけで「クレバーボーイ」と褒められた)
  • 授業中に質問しまくっても問題なし
  • 授業中に歌を歌っても問題なし
  • 運動会で頑張った子にお金をあがる校長先生
  • クレヨンで宿題をやってくる生徒
  • 子供達は頻繁に転校する(そのため、転入生がいじめられる心配がない)
  • 落第や飛び級がある。そもそも一斉に学校に入らない
  • 学校行事(スポーツ大会、遠足、修学旅行など)も選択制で強制参加ではない
  • 毎年同じクラブ活動を続けることが推奨されていない
  • 相手の属性(人種)にこだわらない
  • 多くの人が「辞めぐせ」がついている(が、社会的に困らない)
  • ビックリするほど「怒らない」


マレーシアの「多様性教育」

落第や飛び級がある。そもそも一斉に学校に入らない

クラスメートの年齢がまちまち。

6歳のクラスに5歳で早めに入学した子もいれば、8歳の子もいた。親が子どもの様子を見ながら、何年生から学校をスタートするかを決める。(中略)

何歳だから何年生というのが決まっていない。

ただし進級条件はそれなりに厳しく、テストの点が悪いと、容赦なく留年となる。逆にできる子は飛び級できる。ゆっくり学習したい子、早く学習したい子、それぞれの個性を尊重できる。

 

学校行事(スポーツ大会、遠足、修学旅行など)も選択制で強制参加ではない

自分でやるかやらないかを決めて、挑戦して、結果を引き受ける。その訓練を何度もすると、挑戦することが怖くなくなる。挑戦に慣れてくるうえに、自分の適性がわかってくる。

親が決めるのではなく、子供自身が決めるのだから、子供も納得できる。自分の意見をはっきり言うことが求められるので、自分自身の個性を嫌でも向き合わざるを得ない。「みんなと一緒でいいです」という答えはあり得ないのだ。

 まるでロボット教育かのような日本とは180度違うなと思いました。

 マレーシアという国自体が「寛容」な国であるがゆえにできることなんでしょう。

 「正確さ」を求める日本では、難しい。組織レベルでは。

 しかし!家庭内ならできるのではないか・・・! 

 そのためには、親自身が「寛容」であることが必須!

 つまり「マレーシア化」するべし!

 

なにを大切にするのか?本質が見えた言葉。

 以下の引用は、著者の息子さんが大好きだったインド人の先生からもらったメッセージです。

 どうぞ忘れないで。

 ただ、あなたらしくいてね。人々にありのままのあなたを見せてね。不完全で、欠点があって、変わっていて、美しい、そしてマジカルなあなたを。あなたには代わりがいないのです。

 今のまま、いつもハッピーにしていてね。

 あぁ、これがすべてだなぁ、、、と思いました。

 私が息子に望むこと。

 「いつもハッピーにしていてね。」

 息子の24時間が、我慢や苦しい時間に多く占められたくない。

 そんな思いをしてまで学校は行くところではない。

 ハッピーな時間を長く感じられるところで過ごしてほしい。

 彼が幼稚園に行かず、家で過ごす方がハッピーなら、そうしてほしい。

 諦めではなく、むしろそうしてほしい。

 新しい扉を開こう!

 私の心は決まりました。

世界を増やし「辞めるオプション」を持つ

 著者がおススメするのは、何事にも「複数の選択肢を持つ」ことです。

 これは、私も以前から感じていたことでした。

 息子には転入前の土地で仲良くなった友人がいます。

 月に何度か遊びに行っていて、幼稚園の友人とは違った楽しさを感じているようです。

 息子には学校がすべてではないことを知ってもらいたい。

 幸運なことに、幼稚園以外のコミュニティを持てていることは、親子ともども大きな救いとなっています。 

まとめ

 結局は、「どう生きていきたいか、自分の心に素直に従っていいんだよ」ということだと思います。

 だって、日本では変わった行動と思われても世界では当たり前かも。

 あなたの意見は、ここでは少数派だとしても、世界から見たらメジャーかも。

 ところ変われば、見方も変わります。

 どんな決断も堂々としていいんじゃないですか!

 全方位的な「正解」はないんだから。

 勇気がもらえる本でした。

おまけ:その後の息子

 さて、私の気持ちも決まりました。

  「幼稚園をやめよう」

 息子に告げました。

 「いや、辞めたくない。楽しいこともあるから。」

 って、え~~~!?

 泣き叫んで行きたがらなかったこともあったのに?

 謎・・・・。

 不思議なことに、私が辞める決意を表明した日から、毎日幼稚園へ通っています。

 他人の気持ちって、わが子といえどまったくわかりません。

 この先、揺らぐこともあると思います。

 だけど、大丈夫!

 マレーシアの寛容さを知っているから。

 世界のどこかにきっと味方がいる。

 

  

 

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