事実と解釈___『くもをさがす』/西加奈子

『くもをさがす』西加奈子

 私は闘病、という言葉を使うのをやめていた。「病気をやっつける」という言い方もしなかった。これはあくまで治療だ。闘いではない。たまたま生まれて、生きようとしているがんが、私の右胸にある。それが事実で、それだけだ。

『くもをさがす』

 『くもをさがす』の帯にも載っている文章。

 西さんの、フラットに事実を見ようとする姿勢が好き。

 気を付けていないと、解釈が事実のようになってしまうけれど、先に事実があって、解釈がある。

 ガン、治療、苦しみ、カナダの文化、日本の文化、いろんな事実を受けて、西さんの解釈、どう感じているかが書いている。

 解釈がその人たる魅力だと思う。


 西さんはテレビでお見掛けする度、なんてキュートな人なんだろうと思う。

 言葉を慎重に選んで、その言葉が優しくって、表情もくるくる変わって、一目で大好きになった。


 死はすぐそばにあって、当たり前に死亡率100%の私たち。

 光が影を作るように、死も生をはげしく縁どって、逆もそのしかり。

 『くもをさがす』を読んでいて思いだしたことがある。

 私は子どもを産んだ時、死を思っていた。

 今、私が死んだら・・・

 圧倒的な「生」を目の前にすると、その反対にある(本当は反対ではないのかもしれないけど)「死」がくっきりと浮かび上がる。

 今、私がここで死んだら、私は幸せの絶頂で死ぬことになるな。

 そう思った。

 残された家族のことも、悲しむ人のことも考えず、ただ自分だけの死を見つめるとそう思った。

 誰にでも感じたいように感じられる自由がある。

 どう感じているかがその人の魅力で、そこに人を感動させるものがあって、あなたの話を聞きたいって思わせるところだと思う。

 西さんの話が聞けて良かった。

 健康状態と言える今の私に絶望と恐怖と、だからこそある喜びを、想像じゃなくって、現実に感じた西さんのお話を。

 それが「美味しい」ことに、そしてそれを「美味しい」と感じることに感動した。

『くもをさがす』


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